メジャーブランドが完備する200系の機械的LSD
「リーフ採用で接地性の良くない200系は
トラクション強化でふらつき感を改善できるはず」
そう判断して注目したのが
前回のブログで触れた機械式LSDの存在。
「200系で機械式LSDが隠れた人気パーツなんだよ」などと
以前から取材時の雑談などで聞いてはいたんですけど、
足まわり試乗といった限定的な走行シーンだと
トラクション不足のふらつきはとくに感じることもなし。
釣りやキャンプで未舗装路へ進んでいくようなアクティブ派に
スタック対策でLSDが必要なんだろうなといった程度に考えていました。
納車直後の休みに慣らし運転がてら家族と出かけた日本海。部分的に砂地の混ざる草地で普通に走り抜けたら問題ないのですが、トラクションコントロールがスロットル制御効かせての失速からスタックの洗礼を見事受けました。ふらつき対策の直進安定性確保もありますが、機械式LSD投入を強く意識したきっかけです。スタックの危険性がある微妙な路面状況を低速走行するような場合は、事前にトラクションコントロールスイッチ短押しでオフにしておきましょう。
というワケで、
愛車のトラクション性能を機械式LSDで高めて
走りの安定感を引き出すべく
早速情報収集開始です。
機械式LSDといえば
カーツ、ATS、クスコ、OS技研といったあたりがメジャーブランド。
ざっと調べてみたら、全メーカーが200系用機械式LSDを完備していました。
■カーツ■
https://kaaz-sports.com/lsd.html
1.5ウェイ ¥109,000
https://kaaz-sports.com/serch_lsd.html?mfr_id=1&model_id=30
■ATS■
1.5ウェイ/2ウェイ ¥123,000/メタル ¥166,000(カーボン)
http://www.a-t-s.co.jp/05catalog/toyota-lsd.html
■クスコ■
1ウェイ/1.5ウェイ ¥114,000
https://www.cusco.co.jp/cusco_catalog/275/
■OS技研■
https://osgiken.co.jp/top_j.html
1.5ウェイ ¥158,000/スーパーロックNEO ¥180,000/デュアルコアNEO
https://osgiken.co.jp/neo/index.html
クスコのWEBサイトは
LSD投入効果に関する解説も丁寧に記載されていたので必読ですよ。
https://www.cusco.co.jp/catalog/lsd/lsd_line_up.html
https://www.cusco.co.jp/catalog/lsd/syasyubetsu_type.html
うーん、
これだけ豊富に用意されていると、正直選ぶのに困ります。
スポーツ系車種でサーキットを走ったりするなら
「1.5ウェイでカム角セッティングをこう変えたらいいよ」などと
仕事柄、色々耳寄りな情報も入ってくるのですけど、
ハイエースにLSD投入を検討するとは正直思ってもみませんでしたので
まったくのノーマーク。
メーカーごとに細かなこだわりが注がれていますが
どれが自分に合うのかは使ってみないとわかりません。
しかし、ここで問題というか疑問が発生!
「乗りやすい1.5ウェイあたりで金額重視かなぁ」と悩んでいた際に
ふと頭をよぎったのは
バンの4WDモデルにオプションで設定されている純正LSDの存在。
200系購入時にはバンも含めて
見積もりシミュレーションで色々遊んでいたのですが
LSDを選ぶと強制的にセーフティセンスやVSCなどは
レスオプションとなっていました。
いったいなぜなんだろう……。
購入検討時はアゲも楽しそうと4WDも少し意識していたので気付いたのですが、バンに用意されているメーカーオプションの機械式LSDは選択すると自動的にセーフティセンスとVSC関連がレスオプションとなりました。また、セーフティセンスのみレスは可能でしたが、VSC関連の機能と統合制御されているためにVSC関連をレスにすればセーフティセンスも自動的にレスとなります。
IV型後期のセーフティセンス装着車は機械式LSDがNG!?
自動車メーカーが両者を共存させないということは
Ⅳ型後期のセーフティセンス搭載車に機械式LSDを投入すると
もしかして制御不具合を引き起こす?
そう不安を感じてネットで色々調べるも、
セーフティセンス搭載車は機械式LSDが選べません。
といったことばかり。
でも、200系用LSDに書かれた各メーカーの注釈を読んでも
セーフティセンス搭載車不可とはどこにも書かれていない。
もしLSD投入で不具合出たらVSCオフにしたらいいやと最初考えていましたが、メーターフード左上にあるトラクションコントロールを長押ししてVSCオフにすると……当然ながら自動ブレーキも解除。メーター内ディスプレイにはTRC OFFと表示されたままになるので、この状態での普段使いは少し難しいものがあります。
そんな中、たまたま仕事でOS技研へとお邪魔する機会があったので、
「セーフティセンス搭載車にLSD投入して不具合報告はない?」
「なんでメーカーは共存NGにしてるの?」
など、LSDの開発担当者に疑問を色々ぶつけてみました。
細かく説明すれば長くなるので回答を簡単にまとめると
■スーパーロックLSDに関してセーフティセンス搭載車への装着例はいくつかあるようだが、不具合報告はとくに寄せられていない。
■セーフティセンスにLSDをNGにしているのは、統合制御の一環となるVSCがオープンデフ前提のセッティングでエンジンの出力制御だけでなく左右独立のブレーキ制御もおこなっているため、ブレーキや駆動系への負荷増加を避けるためではないか。
とのことでした。
※参考※
車種は新型ジムニーなんですが、色々と質問していたなかで左右独立ブレーキ制御で発揮されるブレーキングLSDの存在を教えて頂きました。空転側にだけブレーキ制御をかけて、接地側へと駆動力を引き出しているのですが、唐突な作動となるためステアリングを切り込んでいるような状況からイッ気にトラクションかかれば横転の危険性も……。試す機会はありませんでしたが、VSC搭載された200系も同じような制御が入る!?
https://www.youtube.com/watch?v=ODsoC3Jvwcs
そこからLSD談義で盛り上がっているうちに
「ブレーキ制御介入前にトラクションを引き出そうと86に向けてトルク感応型のスーパーロックLSDへ回転感応型を融合させた新世代LSD〝デュアルコアLSD〟を開発したんですが、それなら200系でもVSC介入前にトラクションが引き出されて不安なく使えますよ。200系に向けてセッティングしたスーパーロックNEOは高速巡航が楽になると好評ですし、200系用セーフティセンス搭載車でLSDがNGと困っている方が多いなら、安心して使ってもらえるようにデュアルコアLSDを200系にも展開してみましょう」
と信じられない言葉が!
スーパーロックLSDはスプラインスルーのサイドギヤでロック性能を左右するプレート枚数を確保しつつ、プレッシャーリング部はフリー方向に荷重をかけるスプリングを内蔵して不要なシーンでの効きを抑えた設計。余計な滑りを生じさせない100%ロックで、熱や摩耗に強いロングライフ設計なのだ。
デュアルコアLSDはスーパーロックLSDの基本構造を踏襲しつつ、スパイラル形状のサイドギヤを採用。通常時はスーパーロックLSDとして作動しつつ、トルク感応型でカバーできない完全空転時にはサイドギヤがプレートを押しつける回転感応型として作動する次世代アイテムだ。
そんな経緯もあって、僕のLSDチョイスは
出来たてほやほやとなるOS技研・デュアルコアNEOに決定。
2ウェイへの変更やイニシャルアップといった
こだわりのカスタムオーダーも可能でしたが、
ここは素直に快適性とトラクション強化を両立したという
OS技研自慢のベースセッティングを味わうことにしました。
フルノーマルでも走りが大きく変わる!
そんなこんなで、愛車へ投入したOS技研・デュアルコアNEO。
まずは声を大にして言うと
走りの不安定さを少しでも感じているなら
仕様問わずに機械式LSDを入れるべき!!
です。
トラクション強化はやはり、
ストレスだったふらつき抑制に効果テキメンでした!
直進安定性が高まったことからステアリングが適度に重くなり、
高速クルージングならステアリングに片手を添えているだけで
フラつくことなく走らせることが可能です。
隣の車線へ飛ばされてしまいそうなほどだった強風だと
多少なりのふらつきは感じますけど、
それでも車線内をしっかりキープできる安心感♪
僕は名古屋方面の仕事へ行く際に
荒れた路面のコーナーが多い名阪国道を利用するのですが、
以前まではゆっくりとしたスピードでもリヤが簡単に暴れて
細かなアクセルワークやステアリング操作が必要でした。
そうしたシーンでもトラクション強化のおかげで
まるで路面がキレイなコーナーのような安定感。
ゴツゴツとした感じは伝わってきても、
不安を感じることなく狙ったラインで楽に走っていけます。
ちなみに今までの愛車で使用していた機械式LSDは
グイグイ頼もしいトラクション強さと引き換えに
車庫入れや交差点の右左折で
バキバキといった不快なチャタリング音や
タイヤの引きずり感がありました。
(助手席の友人にどこか壊れてるんじゃない?と言われるほど)
今回のデュアルコアNEOは低イニシャル仕様ですし
通常時にはオープンデフ同様のフリー方向へ荷重をかける
スプリング内蔵式プレッシャーリングを使用していることから、
そうしたチャタリング音や引きずり感は皆無。
グイグイといった強い頼もしさを感じないのに
必要な時にしっかり効いてくれるので、
LSDが初めてというビギナーさんでも
扱いにくさはまったく感じないでしょう。
200系のデュアルコアNEOは扱いやすいイニシャルトルクやカム角に加え、プレートに刻まれた溝で滑らかな効きを発生させるなど細やかにセットアップされたもの。チャタリング音に関しても初期慣らしでほんの少し感じた程度だ。そうした基本性能の確かさに加え、Ⅳ型後期セーフティセンスでLSD投入の不安要素だった電子制御介入よりも前に引き出されていくトラクションが頼もしい。
強いて気になった点を挙げるなら
トラクションが強化されたために
横方向への力が強くかかっているコーナリング中に
前に押し出していこうとする力が強く働くと、
リヤ足のイン側が簡単に伸びてしまってロール感を生む部分。
とはいえ、そこまで不快には感じませんし、
これはダンパー交換で簡単に対処できるハズなので、
後々の宿題として抱えておきます。
ちなみに投入のデメリットは
・工賃を含めれば高額となる機械式LSDの初期導入費用
・定期的なオイル交換を要求される
といった費用的部分。
マイルドセッティングだから使い勝手や快適性といった部分は影響ありませんし、
足まわりからタイヤ・ホイールまでノーマルのままで
大きく高まった走りの安定感を考えると、
機械式LSDの投入を強く薦めます。
今回は2WDでの装着紹介でしたが、
OS技研ではカタログに載せていないものの
4WD用フロントLSD、リヤLSDも用意しているとのこと。
デュアルコアNEO投入後は初期慣らしで1000㎞走行後にオイル交換。余計な滑りの抑制でギヤオイルの熱負担も少ないとのことだったので1万5千㎞走行後に交換してみましたが、抜いたオイルは非常にキレイでドレンのマグネット部にもわずかな鉄粉がある程度でした。なお、OS技研純正ギヤオイルは80W-250と硬めですが、気温が低い時期の走り出しで硬さを少し感じる程度です。
IV型前期までなら豊富に用意される機械式LSDから好みに応じて、
機械式LSDがNGとされていた
セーフティセンス搭載Ⅳ型後期はデュアルコアNEOで
走りの安定感や走破性高さ引き出すトラクション強化を図ってみてください。
次回は、ようやくタイヤ&ホイールの交換です。
走りの〝改〟適化をコンセプトにしているので、
デザインやサイズだけでなく、
バネ下重量なんかにもこだわってみることにしました。
ご期待ください。
Kカーからトラックまでチューニング、ドレスアップ問わずにカスタムされた乗り物大好きなフリーライター。カスタムは楽しければOK、1+1=2ではなく0にも4にもなるのがクルマいじりの魅力だと考えています。今回マイカーとして購入した200系では、いちオーナーとして気になるアイテムがどうなのかや不満&疑問解決なんかに取り組んでみます。「こんな不満を解消するにはどうしたらいいの?」とか「このアイテムが気になるからわかりやすく知りたい」といったリクエスト、絶賛受付中!
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